第1回の「求職者の気持ちを動かす」に続き、今回も採用担当者向けに、求人募集内容で求職者の気持ちを動かすことついてお伝えします。
 以前エステティックサロンの清掃やセッティングをおこなうパートタイマーの募集をおこなったのですが、ただ「清掃スタッフ」「セッティングスタッフ」と募集しても応募者が集まらないと考え、職務内容を記載したうえで「エステレディ(パートタイマー)」ネーミングにこだわった募集をおこないました。するとエステという言葉が浸透し始めた時代ということもありネーミングが女性の気持ちを揺さぶり、応募の電話が殺到しました。募集職種のネーミングで、求職者の気持ちを動かすことができたのです。

 30代半ばのときふと読んだ後海老名市にある食品会社の求人募集記事に「社長の片腕になる人材募集」というキャッチコピーが記載されていました。そのコピーに魅かれて応募し、人材開発室長として転職しました。そして入社後すぐに社長からこれまでおこなっていなかった大卒採用をおこない10名採用したいと言われて戸惑います。すでに私が入社する前に、紙媒体のカラー2ページの求人広告を1000万円で手配しています。
 今でこそ海老名はショッピングモールなどがあり賑やかですが、当時の海老名という立地で正社員が200名程度の知名度のない会社、しかも初めての大卒採用という条件では、正直1000万円の求人広告を出しても、一人も採用できない可能性があると考えました。

 悩んだ結果、求人広告をカラーからモノクロに変更することで経費を500万円削減して、その500万円を使って「食文化を知るための海外研修を入社後すぐに実施」というキャッチコピーで募集をおこない、入社後すぐにシンガポールで海外研修をおこなう企画を打ち出しました。最近は海外研修を行う企業も増えていますが、当時は入社後すぐに海外研修を実施する企業は少なく珍しさもあり多くの応募者が集まり、無事採用予定人数以上の12名の新卒新入社員を採用できました。

 求職者は求人募集記事を読んで、多くの企業のなかからこれだと思う企業を選択します。
採用の入り口である求人募集記事について、応募者の気持ちを動かすメッセージを発信しているか、ぜひ考えてみてください。

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谷所 健一郎(やどころ けんいちろう)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 https://cdomain.jp/index.html